『金沢ごいた』 のデザイン手記 (長~文です!)
8月9日(日)に 金沢ボードゲームマーケット (通称:金沢ボドマ) が開催されます。そのイベントの目玉の一つとして能登ごいた保存会公認の 『限定版ごいた』 が販売されることになりました。
『ごいた』とは石川県能都町宇出津に伝わる伝承娯楽で、最近ではカードゲーム化されたりとアナログゲーム会でもよくみかける人気のゲームです。
今回、私の出身が石川県ということもあり、その縁でデザインを担当することになりました。
(私は石川県能美市(旧寺井町)に23歳の夏までおりました。就職先の会社で起きた社長夜逃げ事件がなければ今も石川にいたかもしれませんね^^;)
さて、このデザインのお話はゲムマ2015春の1ヶ月前くらいにいただきました。とっても面白そうな案件でしたので即承諾!ただ新作の準備などであまり時間を割けない時期でしたので、少しずつ制作をすすめることに・・・
まず要望として、
1.金沢のイメージを強く押し出したいということで兼六園、琴柱灯篭、金沢ひがし茶屋街、加賀友禅等からテーマを絞っていくこと。
2.ペア対戦のゲームなので、キャラクターがペアで対峙する描写も欲しい。
3.明るくポップに。
なるほどなるほど、今回は和風ものになりそうな予感!(私のラインナップには無いものでしたので、和風ものは作ってみたかったですね!)
まずは手書きでこんなラフを描いてみました。
パッケージは大変そうだったんで、簡単そうなところから・・・いえいえ、テーマを絞るつかみとしてよさそうだったんで得点チップとカードからはじめました。ポイントとしては、加賀藩前田家の家紋、金沢市の木である梅、琴柱灯篭をイメージしてますね。
お陰様で印象が良かったので、これをもとに制作を進められることに^^(「オールカラーでいきましょう!」となったのもこの時点です。)
苦手な文字のことを相談してあったので、しっかりとした習字での文字データを主催よりいただいて制作の準備が整いました。
チップの案ができました。50点チップには家紋(金箔風)と漆塗りな感じ(この家紋、ちょうど50点的デザインでしょ!)、10点チップには梅と可愛らしく和紙っぽい感じを意識しました。
次にカード。琴柱灯篭だけでは寂しいので、背景もつけることにしました。イベントが夏なので、夏の兼六園です(ラフでは背景に梅の木とメジロを配置していましたが、バランスを考えてやめました)。これに色を付けて見てもらったあと、しばらくして「"文字に色"が着いていると遊びやすいのでそのように!」と指示がありました。【王】=黄(金)、【香】=青、【し】=赤、【その他】=黒
色かぁ、とあれこれ悩んでいたら、いい案が浮かびました。「兼六園といえば景観の美しさ・・・・おおお!四季にしちゃおう!!」。『ごいた』 は手元に並べていくので四季が表現できれば場がとっても綺麗になるんじゃないの!?と。
試しに作った夏は、ちょうど 【香】 にしてたので、そのまま【香】は夏で決定。(ちなみに、カードを手にもってプレイするのでわかりやすいように左上に小文字、右上には枚数、左下には得点をデザインしました。カードサイズは一般的なポーカーサイズ(63mm×88mm)です。
さて・・・他の文字はどの季節に当てるかな?ってことで、赤は秋っぽいので【し】はすぐに秋になりました。じゃ黒は冬?残った春は黄か。お!冬を全て受けられるのは春だぞ!(『ごいた』には【王】は【香】、【し】以外を全て受けられるというルールがあります。)なんという偶然!!みたいに楽しんで作っています。
そうそう、ここから大変だったんですよ。夏の線画をベースに、秋にして"雪つり"を加え、一方では木の茂みを消して若芽にして春にし、冬では秋の紅葉をなくして雪を載せてって、最後に色を付け直す・・・うん、がんばったがんばった。私にとって石川(金沢)は雪ってイメージが強いのも相まって、全体的に冬のカードが多くなっています。
こんな感じになりました^^(王の点数は高いので点数アイコンを大きくして強調しています。)
カード表がそろったから次は裏ねってことで、ここでもアイデアが降りてきました。裏は透け防止にわりと濃い色にしたかったんで、「夜にして・・・ライトアップ!いけるいける!」って勢いで即決定しました。秋をベースに色を塗り替えてと・・・
うん、やっぱりよかった。(ゲームでは裏向きでも置かれるので、美しさUPは間違いないでしょう!)タイトル文字も明かりが灯ったような効果を加えました。
結局楽しくなってゲムマ前にカード案がほぼ出来上りました。 この後、制作はしばらく間が空きます。ゲムマ本番と新作 『原始人の晩餐』 の質問に対してのフォロー、店舗様への営業等々。。。
少し落ち着いた頃合いを見て、パッケージのデザインを開始しました。1枚イラストパッケージを試したくて、兼六園をあらためて描くことにしました。
" あたり"を描いて水彩で表現するってことができないので、全て線で描き込んでます。(もう少し効率よくできると色々と便利なんだろうなぁと思いますが、これもまた味になっていいのかなとも思います。)
色をつけました。だいたいベタでがーーっと塗って、水彩でちょこちょこひたすらやるとこうなります。(箱表面に現れないところは、ちょっと手を抜いてます^^;)
さあ、ここに要望のあったキャラクターをのっけるのですが、最初はボツをくらいました。伝統ゲームにとらわれすぎて、そんなキャラにしたためです。(そのうちボツ版もお披露目するかもしれませんが、今回は省きますね。)明るくポップというのも忘れてましたね^^;(製作にしばらく間を開けると忘れることもあったりすると思うので、こういった場合は要望を見返すことも大事ですね。)
困っていたら、ありがたいことに具体的なキャラ設定を指示いただきました。「絵柄のイメージもこんなで」ってことで、「ちょっとそのキャラみたいには描けませんが、できるかぎり頑張ります!」となったわけです。まずは侍のラフで確認してみたらOKだったので、この路線で進むことにしました。
多少の修正もありましたが、そこにタイトル、ロゴを載せてようやくできあがりました(箱ふた)。日ごろのイラストと違うので少し気はずかしいですね^^; 姫の着物の模様は加賀友禅を意識してみましたが、雰囲気でたかな・・・?
裏面(箱み)は兼六園の四季をテーマにしてることが伝わるように春夏秋冬カードを並べました。そうそう、箱は主催者の意向でカードスリーブを使っても余裕なサイズになっています。(ドキッ・・・私のゲームもそうしろって!?ごめんなさいごめんなさい、ぴったりが好きなもので・・・^^;)
箱の背景イラストを利用して補助カードもこんな感じの表裏に仕上がりました。プレイ用のカードと区別できる色使いにしました。
いかがでしょうか? 我ながらよくできたと思います(自画自賛^^;)。イベント限定販売になりますので、お越しの際はぜひお手に取っていただけると嬉しいです!どうぞよろしくお願いいたします!!
金沢ボドマには私、TAGAMIGAMES(タガミゲームズ)も参加します。『原始人の晩餐』、『オレカジ』、『あてずっぽ殺人事件』、『もぐらの父さん宝を探す』 を少しずつ持ち込みます。全てイベント価格でお店より少しお安いのでお得です。小さいブースですが試遊もできますので、お気軽にお声かけください。
また、限定ごいたデザインについてもまとめたファイルを主催の方に渡しておきますので、ご興味があればご覧いただけると思います。では~^^